「風になりたい」60代は第2思春期

人生カウントアップ!さていくつまで数えられるか!?

「卵とじ出前一丁」登場!

出前一丁」アレンジ調理の歴史は長い。かれこれ半世紀になる。あれは、小学校3年か4年の頃だったと思う。あの頃は、土曜日も午前中授業があった。でも嬉しかった。友達と遊ぶ約束を学校で交わし、午後は日が暮れるまで遊び回る。その頃は、野球が流行っていたかな…
話を戻します。
というわけで、土曜の昼は食事をダッシュで済ませ、集合場所に向かう必要がある。「ただいま〜」玄関にランドセルを放り投げ、台所へ向かう。ところが、いつもいるはずの母親がいない。ちゃぶ台に書き置き…「ちょっと〇〇さんの所に行っています。すぐ戻ります」…待ってられない…そこで意を決して、私は鍋を取った。どんぶりで水を計り、鍋に入れ、火を付ける。沸騰するまでの時間がやけに長く感じる…ちょっと早かったが、鍋に「出前一丁」の麺と粉末スープを入れ暫く茹でる。ここで、玄関から母親の声が…「ちょっと、これ何?」急いで玄関に行ってみると、母親が手にしていたのは、ランドセルの中から引っ張り出した、昨日やった算数のテストだった。「遊んでばっかりいないで、勉強しなさい」…私はこのまずい状況を打開する考えがすぐには浮かばず、そのままときを過ごしてしまった…「アッ、ラーメン作ってたんだ」そう叫んで台所に舞い戻ったが、汁がほぼなくなりかけている…私は火を止め冷蔵庫からやけくそで卵を取り出し、鍋の中でかき混ぜた…こうしてできたのが「卵とじ出前一丁」である。片手鍋の取手を握り、そのまま食す…「うまい!」…出来上がった、もはやラーメンとは、とても言えない汁なし出前一丁、これが存外美味かったのであった。「なに行儀の悪い食べ方してるの」「ちゃんとここに座りなさい」…母親の言葉はきれいに頭の上を通過していき、「卵とじ出前一丁」を食べ終わると、家を飛び出していた。
もちろん、足るだけ遊んで帰ったあとの仕打ちは予想以上のものがあった。
この母親も一昨年旅立ったが、振り返って見るに、どう考えても、あまり良い子ではなかったですね…「本当にごめんなさい」…仏壇の前で思わずつぶやいた…