バイト帰りに聞いている「ラジオ深夜便」…今日は書家の矢野きよ美さんのお話
その中で、東日本大震災の被災地を訪ね、書道教室をされているという…
子供たちに、思いを自由に書かせる…
手のひらに筆を握らせ、立ったまま書かせる…
周りの大人たちは、子供たちが書いた”言葉”に、”なぜ”などと野暮なことを聞いてはいけない…ただそばにいて”言葉”に寄り添う…
ある男の子は、”父”と書いた…矢野さん「立派なお父さんだねぇ」
すると、男の子は「波に流されちゃったけどね」とつぶやく…
みんなが次々に”言葉”を書いていく中、突っ立ったまま何も書かない子もいる…
書きたくないなら、書かなくてもいい…周りの大人たちは、ただ見守る
だが、この子、最後の10分になって、突然”いい日になりますように”と書いたんだという…この子、立ったままずっと祈ってたんだ…
そう思ったら、緩い涙腺が、また緩んだ…
そうこうしてると、女の子が、矢野さんの手をギュッと握ってきたんだそうだ…
「どうしたの?」って聞くと、「お友達が死んじゃったの…」って…
幼稚園のバスに乗ってた時、先生が「津波が来る!」って、みんなを高いところにあげようとしてたんだけど…
この女の子、目の前で、友達が津波にのまれていったのを見てたんだ…
これ以後、この子は、言葉を失ってたってことなんだけど、この日、だれにも話せなかった目の前で、友達が津波にのまれた時のことを、話せた…
勇気を振り絞って話したこの子に、矢野さんが返した話…
もうこれ以上の返しはないだろうって思える返しだった
「そう…」「でも、お友達は、間違って天国行きの車に乗っちゃったのよ」
「みんないつかは、…天国行きのバスに乗って天国に行くの」
「私の方が、○○ちゃんより、先に天国行きのバスに乗るから、お友達に先に会えるわね」
すると、その子が、「会えるの?」って聞く…
矢野さん、「会えるよぉ」って答える
そんなやりとりの後、女の子が書いた言葉が、”みんな元気で”…だった
目の前で友達を失ったショック…フラッシュバックしてくる光景におびえ、その日から時間が止まったこの子に、「いつか会える日が来るんだ」っていう物語が与えられた
その言葉が、”みんな元気で”だった
私が会いに行くまで”みんな元気で”いてね…と言葉にした
その後、矢野さん、この子の担任の先生から、「○○ちゃんが笑ったんですよ」って、聞かされたんだそうです…
もう、ここまで来ると、完全に涙腺が崩壊…
なんか、涙で流さないと、現実の光景が重すぎる
その重すぎる現実から、心を解き放てるのは、やっぱり”言葉””物語”なんだよね…